いつも当院のブログをご覧頂きありがとうございます。
当院は鍼灸と漢方を中心に健康増進や体質改善、美容、ダイエット、妊 活などそれぞれの分野を専門とする治療を行っております。
特に不妊で悩んでいる方のご相談が多いです。当院では生殖医療領域を専門としており、様々なお悩みに応えられるよう、最新の医療技術と知識を得るために、学会や研修会などに積極的に参加し学術研鑽に努めております。また西洋医学の治療に、東洋医学の漢方や鍼灸、食養生などを加えることで治療効果を高めております。最近になり生殖医療領域でも、東洋医療を取り入れる医療機関が増えており、スタンダードな統合医療となっていることを、いち早く皆様に知って頂きたいと思っております。
今回はリモート研修会での「最新のART事情」の模様を紹介します!
コロナ禍と言うことで初となるオンラインでの子宝カウンセラーの会に参加してまいりました。
英ウィメンズクリニック副院長 岡本恵里先生より
「クリニックの紹介と最新のART事情」について講演して頂きました。
《英ウィメンズクリニックと最近のART情報》
英ウィメンズクリニック副院長 岡本恵里先生
〇英ウィメンズクリニックの紹介
男性不妊専用のクリニックを併設しています
婦人科医と泌尿器科医の合わせて約20名の医師がいます。
タイムラプスインキュベーターを2019年から利用して受精卵の胚の分析・培養をするようになりました。
SMASを使って精液精密検査をおこない、良好精子の選別もしています。
精液調整は2人1組の培養士がおこない、より良い精液調整ができるようにしています。
診察室の様子
医療クラークが横について書記しているため、医師がカルテを記入しなくてよいので、時間をかけて患者様と話しをする事ができる環境作りをしています。
◯ART治療について
ARTによる出生児は、2017年には16.7人に1人となり、累計出生児数は2017年までに、60万人近くに上ります。ART治療を受ける患者様の年齢分布のピークは40歳になります。
世界的にもART治療は増加しているのですが、日本と世界との違いとして、ART治療を受ける女性の年齢層が高齢であることが挙げられます。
アメリカではART治療を受ける40歳以上の割合が22%であるのに対して、日本では40%以上にのぼります。
40歳では胚移植できれば妊娠する可能性が30%弱ありますが、胚移植までたどりつける割合も少ないため、治療あたりの妊娠率はわずか15%です。また流産率も30%を超えますので、出産できる確率は1回の治療あたり10%をきっています。女性の年齢による生産率の低下と流産率の増加つまり、妊孕性(にんようせい)の低下は、卵子の加齢による質の低下が原因と考えられています。
年齢の上昇による妊孕性の低下は、必然的に不妊症を増加させることになります。
具体的には不妊の頻度は
・25歳‐29歳:8.9%
・30歳‐34歳:14.6%
・35歳‐39歳:21.9%
・40歳‐44歳:28.9%
報告されています。
すでに30歳から不妊症が増加、つまり自然に妊娠する確立が下がっていることがわかります。
卵巣予備能を評価する2つの指標
・経膣超音波で見るAFC(胞状卵胞数)
・血中AMH測定(抗ミュラー管ホルモン)
胞状卵胞数とは卵巣内に見られるまだ発育してない10ミリ以下の卵胞です。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)とは6ミリまでの小さな胞状卵胞の顆粒膜細胞から分泌されるホルモンです。思春期ぐらいから血中に出てきます。このホルモンの値は、原始卵胞の数と相関すると言われております。
◯卵巣機能が低下した方の治療
・卵巣の老化を防ぐのが大切
・卵子の老化の原因は未解明
・原因の一つとして、細胞の機能を支えるミトコンドリアの機能低下
・ミトコンドリアの機能低下の原因として酸化ストレス(活性酸素)によるダメージが考えられる
→抗酸化力を高めることがカギ
1.適度な運動
2.禁煙
3.健康的な食事
4.サプリメントの活用(ビタミンD、T-1漢方エキス、メラトニン、L-カルニチンなど)
※英ウィメンズで使用されているTー1漢方エキスやサプリメントなどの詳しい説明は、当院の認定子宝カウンセラーや漢方鍼灸師にお尋ねください。
○海外での卵子提供は年々増加傾向
提供卵子による生産率は、年齢差がなくなる。
◯IVA(卵胞活性化療法)
IVAとは体外活性化(in vitroactivation)のことです。
体外に取り出した卵巣組織にある操作を加え、卵巣内にある卵子(発育開始前の原子卵胞)を体外で成長開始させ、自身の体内に戻す方法です。
発育しなかった卵胞が発育するようになって、妊娠・出産された例があります。
◯PRP(多血小板血漿)療法
多血小板血漿(たけっしょうばん)血漿(けっしょう)(plateletrichplasma:PRP)を使った不妊治療とは、患者さま自身の血液から抽出した高濃度の血小板を子宮内に注入する方法です。血小板は、細胞の成長を促す物質や免疫にかかわる物質を含むため、PRP療法により子宮内膜が活性化され、十分に厚くなることが期待できます。
そのことにより、受精卵が着床しやすくなると考えられています。
自分の血液を利用するためアレルギーなどの副作用が少ないです。
子宮内膜菲薄症例(子宮内膜が厚くならず薄い方)の治療や、反復着床不全症例(何度移植してもうまくいかなかった方)の不妊治療で応用されています。
PRP療法は、POI(早期卵巣不全)症例にも利用されています。
◯男性不妊の治療
男性不妊には精子に問題がある場合だけではなく、勃起や射精に問題がある性機能障害も含みます。原因としては精子を造る機能に障害がある、いわゆる造精機能障害が多いのですが、どこに問題があるのかを突き止めることが重要です。
原因:造精機能障害・精路通過障害・性機能障害・副精機能障害
精子DNA損傷率の測定検査
SCD test(Sperm Chromatin Dispersion Test)
:精子頭部を染色し、精子DNAを検出することにより、精子DNAが正常である精子は、精子頭部の周囲にハロー(Halo)と呼ばれる輪状の染色像が検出される。一方、DNA fragmentation(DNA断片化) がある精子は、ハローが認められない。
英ウィメンズクリニックでは、Halosperm kit を用いて精子を染色。300個の精子をカウントし、精子のDNA fragmentation の割合を測定しています。
精子のDNAの断片化指数(DFI: DNA Fragment Index)
SCD testの結果は、DFIという数値で表されます。正常値は30%以下で、射出精液中の精子の平均DFIは、10‐15%です。
原因:加齢、喫煙、禁欲期間、酸化ストレス、精索静脈瘤
DFIとARTの関係
・DFIが30%以上の場合、胚発生の低下や流産率の上昇など、ARTの成績に悪影響を及ぼすことが報告されています。
DFIと精子調整の関係
・精子培養時間が長いほど、遠心分離処理が多いほどDFIが高くなる。
ARTで用いられる主な精子調整法
→密度勾配遠心分離法、洗浄濃縮法、swim up法
これらの遠心分離を伴う調整法では、精子に対して物理的ダメージやDNA損傷を与えることも報告されています。
新しい精子の調整方法
遠心分離をおこなって精子を調整するとDNA損傷がおこりやすいことから、遠心分離を行わない精子調整方法「ミグリス」を行っています。
⇨遠心分離を行わずに運動性が良好な精子の回収が可能になります。
〇岡本先生への質疑応答
Q.着床前診断で問題のない卵で、妊娠できなかった場合一番原因として多いのは何でしょうか?
A.最近で胚盤胞から生検(バイオプシー)する際の細胞のダメージが言われている。それ以外にも卵自体に異常がなくても、受け入れる側(子宮)の着床不全の問題が最近トピックとなっている。
当院で行っているPRP療法は、原因がわからない着床不全には有効だとわかっている。
【GnRHA+PRP療法】着床の有効性が高い
ゴナドトリピン放出ホルモンGnRHアゴニストを使用した治療。「偽閉経療法」とも言われる。産婦人科の分野では例えば、子宮筋腫や子宮内膜症の治療に使われることがある。
GnRHAの注射を打つことで閉経状態にもっていき、子宮を2周期ぐらい冬眠状態にして、ホルモン補充周期での胚移植をします。月経が来ないまま移植する。さらにその周期にPRP療法で子宮内に注入すると、かなりの効果があるという印象です。
Q.人工授精のタイミングはいつがいいですか?
A.人工授精を排卵予定日の前日、当日、翌日のいずれに移植しても、妊娠率は変わらないという結果が得られています。
人工授精用に調整した精子の運動性は、自然に膣内に射精された精子と比べると生存期間が短いと思われます。なので、人工授精のタイミングは排卵日の2日前までが限度だと思っている。排卵後の人工授精は1日が限度だと思っている。理想は排卵日の2日前から1日後良い。
Q.着床前診断についてどうお考えですか?
A.着床前診断で異常がないと診断された受精卵については、若い方の受精卵と同じと考えらるので、年齢の高い方が着床前診断をされることは、無駄な時間を使わないという意味でも有効と考えられます。
Q.採卵を急ぐ方についてはどのような対応がありますか?
A.採卵は、採卵後にもう一度採卵するという方法もあります。つまり1周期(1ヶ月)に2回採卵するということも英ウィメンズクリニックではおこなっています。
同一月経周期の卵胞期と黄体期に卵巣刺激を行うこと(Duo Stim ):月に二回採卵する方法
AMHが低い恒例の患者さまだと時間がないので、希望される方が多いです。
Q.高齢の方でAMHが低い方でも同じ周期で2回採卵は出来るのでしょうか?
A.高齢になるとホルモンバランスが乱れているため、FSH(卵胞刺激ホルモン)の値が高い方が多いです。常時FSHの値が高いため、月経が始まったときにすでに卵胞が育っている場合があり、それぞれの卵胞の成長過程に差が出てきます。まずは成長の早い卵胞を採卵し、卵巣内に他の卵胞がある場合は、再度採卵をかけて2回目を同じ周期で続けて行います。
FSHが常時高い方は、通常だと排卵後にFSHの値は下がるのですが、下がらずにいるため、月経の前から卵胞が成長するために月経の3日目には、大きく育ち5日目には採卵ということもいます。
🍀テル先生からの一言☺️☝️
英ウィメンズクリニックには全国から不妊で悩まれた患者様がたくさんみえられます。そのほとんどが今まで様々な最新の治療法を試された方が多く、最近では最新の治療法というよりかは、妊娠しやすい体質(妊孕性)作りをしたいという要望も増えてきているようです。
最新の西洋医療に、妊孕性を高める東洋医療(漢方薬、サプリメント、温灸、鍼灸)を加えることで妊娠率を上げる試みが積極的に行われています。
改めてベースとなる体質作りが大切だという事がわかりました。
一緒にはじめの一歩を踏み出しましょう!
<当院の思いとは>
一人でも多くの方の希望に、そしてそのお腹の中に命が授かり、元気な赤ちゃんをその腕で抱きしめてもらえるようお手伝いさせていただきます。
<選ばれる理由>
当院の不妊治療専門の鍼灸師や子宝カウンセラー、医薬品登録販売者は学会や研修会などに積極的に参加し最新の高度生殖医療、より専門的な不妊治療の知識を深め、日々の治療に活かしています。
<再現性のある治療を追求>
当院では最新の不妊治療の知識とEBM(科学的根拠にも基づく医療)に基づいた鍼灸治療と漢方治療を提供しております。また脳科学に基づいたメンタルヘルスを治療に導入しており、治療効果を高めております。
<鍼灸と漢方は治療効果を高める!>
当院で行っている不妊専門の治療は、EBM(科学的根拠にも基づく医療)に基づいた再現性のある鍼灸治療と漢方治療を提供しております。今までのデータを集約すると、「鍼灸治療だけ」の人よりも「鍼灸+漢方治療」の人の方が早い段階での体質改善につながり妊娠率が高まる結果が出てきております。特に遠方から来院される方や仕事などで忙しくて鍼灸治療に定期的に通えない方には、自宅で簡単にできる漢方治療をオススメしております。
2019年もたくさんの方の子宝相談や治療に携わることができ、心温まる声をいただいております。
🍀鍼薬健美堂(薬店)からのお知らせ💊
当店では、不妊治療に特化した新しい漢方薬を取り扱うようになりました
ART(高度生殖医療)を行う、日本最高峰の不妊治療専門クリニック
(英ウィメンズクリニック)🏥で推奨され、エビデンス(科学的根拠)などの調査を行なった効果的な漢方薬を提供致します
詳しい内容については、治療の際お気軽にお申し出下さい。
先日、英ウィメンズクリニックでの院内見学&研修会に参加してきました。
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詳細はこちらをご覧下さい。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
初めて不妊治療を希望される方は
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